A truth in us.
それが、アントルシアという造語の意味です。

結成から7年が過ぎ、これまでCojokの活動を通して、多くの方々との出会いがありました。ライブや作品作り、時にはビジネスとして、様々な方々と関わり、ここまで進んできました。とはいえ、どれもが美しい出来事ばかりではありませんでしたし、もちろん、多くのリスクや喪失と向き合いながらの前進でした。時々、音楽を続けることがとても苦しく、諦められたらどれほど楽だろうと感じたこともあります。しかしじゃあ、なぜ自分たちはそれでも音楽を続けるんだろう、と考えた時、「ヴァニタス」が心に浮かんだのです。

以前にblogでも書いたことですが、「ヴァニタス」とは、16世紀あたりのヨーロッパで多くの画家によって描かれた概念であり、「栄枯盛衰」「人生は有限」というこの世の虚無を唱い、転じて「だからこそ今を精一杯生きろ」という教訓を表したものです。

人生の時間は限られている。
だからこそ人は、その限られた時間の中で、自分の命を燃料のように消費しながら、最大限に「あがき」続けなければ ならないのだ、とわたしたちは感じました。儚い命でありながらも、人は皆、自分に与えられた短い時間の中で、自身の目標や夢、理想と希望を掲げ、昨日よりも今日はできるだけそこに近付きたいと邁進し、奔走する。自分たちにとってはそれがCojokの音楽なのだと再確認したのです。

金儲けでも名声を得る為でもなく、アーティストとして心の底に持ち続けなければならない、本当に大切なものとは、何か。それを省みたことから、このアルバム制作は始まったのでした。

私達が、いわば未開の地に種を植えるようにして始め、貫き続けている「アコトロニカ」というジャンルは多くの人にとってはまだまだ、理解されにくいものかもしれません。
だから、撒いた種が花を咲かせるその日まで、根気よく耕し続け、水をあげ続けることが必要だと感じています。たとえくじけそうになっても、その度に心の声を聴き、自分の中にある真実とは何かを確かめて立ち上がり、再び斧を振るう。勇気ある者の踏み出す一歩は、やがて多くの共感者や賛同者が集まり行進となるはずなのです。それが自分たちの中にある、アーティストとしての真実なのだ、と考えています。

今作では素晴らしい音楽家・クリエイターの皆さんが、純粋にCojokの音楽を面白がる気持ちを動機に、また、新しい挑戦ができることこそアーティストとして何よりの報酬だという姿勢を以て、全力で力を貸してくださいました。音楽を作り世に残す人間の、もっとも素直で飾り気のない尊い思いが、溢れんばかりに詰まった渾身の一作です。

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